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2005年 06月 05日
この前、王様のブランチ(たしか)でも取り上げられていた、現役教師の瀬尾さん。素朴な感じが、角田光代さんにも通じて、気になっていたので、まずはこの1冊を読んでみた。
毎日の会社生活が失敗続きで嫌気が差し、自殺を決意し、はるか遠くに死に場所を求めて旅立つ。しかし、自殺にも失敗してしまい、そこで出会った民宿の田村さんや自然とのふれあいで、救われていき、自分の場所に戻っていく決意をする。話の展開としては、特に驚くこともなく、ごくごく自然に流れていく。ただ、さりげない心理の描写が、けっこうよかったので、他の作品も読んでみたくなった。 個人的には、次の部分がまさに自分を言い当てているようでずしりと響いた ”私は自然を見ることはできても、それを描き出すことはできない。自然の中に入ることはできても、自然と共に暮らせる人間ではないのだ”自然は好きだし、旅も好き。それを仕事にしようかとも迷ったものの、自分にできること・自分を活かせることを考えると、たぶん違うのでは、と思ってきた今日このごろだから。ある意味悲しいけれど、でも、その分、私には自分しかできないことを築けばいいんだ、旅や自然も思いっきり楽しめばいいんだ、と思えてきた、その気持ちに、この主人公の思いは近い気がした。 ハタから見たら、すごい経験をして戻ってきたとしても、元とたいして変わらない生活にしか見えないかもしれない。それでも、本人にとっては、その過程で、とてつもなく大切な何かを得て、気持ちに変化ができることはある。そんな前向きな気持ちにさせてくれる作品だった。
by hrnhnk
| 2005-06-05 01:56
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