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2005年 10月 10日
私の大学時代に、村上春樹は欠かせないものだった。100%確実に、この作家の作品たちに出会わなかったら、私のあの日々は変わっていた気がする。
それくらい大きな影響を与えられた作家だから、私にとって、ものすごく特別な存在。ただ、最近は、期待のわりには、うーん、とちょっとがっかりせざるを得ない作品が続いていて(期待値が大きすぎるせいもあるのだけれど)、今回は、あんまり期待せず読もう、と心して、それでも大切にしたいから1篇ずつ、少しずつ読み進めて、やっと読み終えた。 やっぱり長編好きの私としては、物足りなさや、タイトルにあるからしょうがないとはいえ、奇妙なままに終わってしまって抜け落ち感がある感じが抜けきらなかった。 それでも、好きだなあ、この人の世界、と思える場面がいくつかあって、だからこうしてずっと読み続けるんだろうなあ、という気がした。 一番好きだったのは、「日々移動する腎臓のかたちをした石」。「男が一生に出会う中で、本当に意味を持つ女は3人しかいない。それより多くもないし少なくもない」という父親の言葉自体に、主人公同様、私も考えさせられた。キリエの消え方は、「国境の南、太陽の西」を思わせて、残酷だけど乗り越えるべき何か、がずしりときた。 あとは、息子を失って毎年ハワイに出かけるサチの話、「ハナレイ・ベイ」も、悲しくてじんときて、いい作品だった。 ただ、早くわくわくする長編が読みたいなあ、と、余計に思ってしまった。こんな期待をたくさんの人にされちゃうと春樹さんも辛いんだろうけれど・・・。
by hrnhnk
| 2005-10-10 22:50
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